胎児の成長過程

胎児の成長過程について

胎児は、妊娠期間全体を通じて継続的に成長、発達します。発育段階は、妊娠初期、中期、後期に大きく3つの時期に分けて考えることができます。以下、それぞれの段階での胎児の成長について詳しく説明します。

妊娠初期(妊娠2週から13週)

妊娠初期は、妊娠の最初の12週間です。この時期は、胎児の臓器や組織の形成が始まり、神経系や循環系などの基本的な構造が形成されます。最初の数週間は、受精卵が細胞分裂を繰り返しながら、子宮へ着床します。一部の染色体異常については、この時期に成長が止まってしまい、流産となります。

妊娠7-8週目頃には、心臓の拍動をみることができます。また、神経系も発達し始め、胎児の脳や脊髄が形成されます。
妊娠10週目頃には、胎児は手足があり、指やつま先が形成され、口や鼻などの顔の特徴が現れ始めます。
妊娠12週頃になると、血管の走行や血液の流れ、心臓の細かな構造が見えるようになります。妊婦健診では、心拍と胎児の大きさを見る時期ですが、実は胎児を観察するうえではこの時期はとても重要です。ダウン症候群など、一部の症候群については、この時期にのみ見られる特徴(首のむくみや心臓の弁逆流など)があります。また、生後に手術を必要とするような、大きな心疾患の約9割はこの時期に発見できます。口唇口蓋裂や二分脊椎なども、この時期にはすでに起きているため、詳細に観察すると半数以上はこの時期に発見することができます。

妊娠中期(妊娠14週から28週頃)

妊娠中期は、妊娠15週目から28週目までの期間です。この時期には、胎児の成長が加速し、多くの器官や組織が形成されます。胎児の骨格や筋肉が形成され始め、呼吸運動が行われるようになります。また、皮膚の下に脂肪が蓄積され、体温調節が可能になります。
妊娠14週の時は約40グラムで、妊娠27週目には、約1000グラムまで成長します。特に脳の発達が進むため、脳の形態異常についてはこの時期に発見することが多くなります。胎児が大きくなるのに伴い、成長に必要な栄養や酸素が増加するため、高度の胎盤機能不全があると、胎児発育不全が起きてきます。胎児が必要な酸素をもらいきちんと成長しているかどうかを評価するには、胎児の大きさを見るだけでは不十分です。羊水量、推定体重、臍の緒の中の血流の様子、脳の血流の様子、母体から子宮へ流れる血流の様子などを総合的に判断することで、胎児の栄養不足による状態悪化を未然に防いだり早期に発見したりするために重要な時期です。

妊娠後期(妊娠29週から出産まで)

妊娠40週(予定日)には、約3000-3500g程度まで成長します。この時期には胎児の骨がしっかり成長しているため、エコー検査にて内臓を確認するのが難しくなります。

一方で、脳腫瘍や胎児貧血など、成長とともに進行していく病気については、ようやく見つけられることもあります。

また、妊娠後期には母体の身体的変化も顕著になり、腰痛や尿失禁に悩むことがあります。逆子になってるかどうか、胎盤機能は十分で予定日頃まで胎児が成長していけそうかどうかを観察します。鎖肛や食道閉鎖など、妊娠中に見つけにくい疾患についても見つけられることがあります。安全な出産を迎えるにあたり、生後に急変する疾患がないかどうかを、今一度確認するために重要な時期です。この時期に何か重篤な病気が見つかった時には、一般産科ではなく、新生児科がある病院へ転院となることがあります。出産してから病気に気づく時は、新生児搬送によって赤ちゃんだけが別の病院へ転院してしまうこともあります。生まれてまもない赤ちゃんにとって、救急車で移動するのは相当の負担であると考えられており、できれば妊娠中にお母さんが転院し、新生児科チームがいる安全な環境で出産することができるのが望ましいとされています。

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