ダウン症候群の子どもの成長

ダウン症候群の子どもの成長

ダウン症候群の子どもの成長ダウン症候群のある子どもが生まれた場合、ダウン症候群のない子どもと何が違うのでしょうか。ダウン症候群の特徴は何となく知っていても、実際の生活がイメージできず、不安ばかり増すことでしょう。本ページでは、実際にダウン症候群の子どもが生まれた場合に、悩み・不安になること、対応しなければならないこと、注意すべきポイントなどをご紹介していきます。ただし、すべての方に該当するわけでなく、個人差もあります。

ダウン症候群のよくある特徴

言葉が不明瞭

言葉の意味は理解できても、うまく言葉を発することができない傾向があります。これは、口の周辺の筋肉の発達が遅れたり、呼吸器系の合併症があったりするためです。

成長過程で難聴が起こりやすい

生まれつき外耳道が狭い、滲出性中耳炎を繰り返すなどで、後天的に難聴になってしまうことがあります。外界の音や言葉に反応しないようなことがあれば検査を受けましょう。

会話を通したコミュニケ-ションができない

難聴や耳からの情報を整理する認知能力の発育が遅れるため、相手と言葉でやりとりをするコミュニケーションを苦手とすることがあります。

環境の変化などで緊張しやすい傾向がある

新しい場所や人にすぐに馴染むことができず、緊張してしまう傾向があります。緊張が激しいと吃音が起こることもあります。

習得するまでに時間を要する場合がある

着替えや衣服の片づけといった日常生活の行動がなかなか身につかない傾向があります。これは筋力の未発達などによる手先の働きが関係していると考えられます。時間はかかりますが、ゆっくりと習得していきますので、焦らず見守りましょう。

乳幼児期の生活

日常生活

ダウン症候群のある子どもも、ダウン症候群のない子どもも同じことを繰り返し成長していく点は同じです。ただ、ダウン症候群のある子どもはやや成長のペースが遅い傾向にあります。それは母乳やミルクの飲む時に失敗しやすい、便秘をする、泣くことが少ないなどにあらわれます。そのため、他の赤ちゃんより保護者の側での気配りや手間が少し多くなることがあるかもしれません。しかし、ダウン症候群のある子どもは成長が遅いだけで、そのことを理解しゆったりとした気持で対応すれば、確実に一歩ずつ成長していきます。

合併症対策

ダウン症候群では、心臓、消化器、目や耳、運動機能、知的機能などに合併症が出やすいことも知られています。合併症が起こるか起こらないか、どんな合併症が起こるか、どの程度の重症度かなどは、お子さんによって異なるため、ダウン症候群のある子どもはより丁寧に、そしてこまめに経過観察をしていく必要があります。
かつては、乳幼児の外科治療などにも技術的な制限があり、長期入院が必要になるようなこともありましたが、近年医療技術が急速に進歩したため、様々な合併症に対して、即応的に柔軟な治療を施し、短期間で合併症をコントロールしていくことも可能になっています。
赤ちゃんのうちは、経過観察や合併症の治療で頻繁に医療機関に通う必要がありますが、成長するにつれ、だんだんと安定し、通院の回数も減っていくケースが多くなっています。

成長のパターン

ダウン症候群を持つ子どもは、通常の成長カーブからはやや遅めとなることが一般的です。そのため、何か月で首がすわり、1歳程度で歩き始め、前後して言葉を発するようになるといった標準的なパターンが当てはまりません。しかし、それは他者と比べての話で、それぞれの子どもたちは、自分の成長ペースにあわせてしっかりと成長していきます。あせらず、人と比べず、個々の赤ちゃんをしっかりと見て成長を見守ってあげてください。

大切な療育

ダウン症候群のある子どもは、成長のペースがゆっくりしています。そのため、つい他の子どもと比較してしまいがちですが、大切なことはそれぞれの子どもに合わせた成長への手助けと訓練で、これを療育と言います。
療育の代表的なものとして、身体の発達をサポートする理学療法、手先の技術などをサポートする作業療法、遅れがちな言葉やコミュニケーション能力をサポートする言語聴覚療法、認知機能の向上をはかる心理療法、正しく安全に食事を摂るための摂食訓練などが挙げられます。
こうした様々な療法・訓練を、お子さんの状態にあわせて適切に行っていくためには、一人で悩むのではなく、誰かと相談することも大切です。相談窓口として。お住まいの市区町村などの担当部署、各地域の「ダウン症親の会」などが用意されていますので、お気軽に相談してみてください。

保育園などでの集団生活

ダウン症候群のある子どもたちも、一人一人の発達の程度や合併症がある場合は障害の程度などに応じて、一般の保育園や幼稚園などに通園したり、障害のある子どもたち専用の施設に通所したりすることになります。
保育園や幼稚園では、保育士さんたちのサポートの元でみんなと一緒に行動することになります。また園によっては、特別の配慮をするための人員を配置するようなところもあります。
障害のある子どもたち専用の施設では、専門科によってそうした子どもたちへ発育・発達のために様々な側面からの療育が施されます。
乳幼児のうちは、風邪を引いたり、熱を出したりと身体が弱いケースが多く通園・通所も休みがちになりますが、成長していくにつれ、だんだんと健康になっていきます。

学童期・青年期の生活

小学校入学の時期を迎えると、お子さんの発育の状態や合併症による障害の状態などによって、地域の小学校の一般学級に通うか、個別支援学級(特別支援学級)に通うか、または特別支援学校に通うかといった選択肢があります。
一般学級では、クラスメートと一緒に過ごすことになります。個別の配慮が必要な状態であれば、個別支援学級を選択することになります。
一方特別支援学校は、保育園時代の支援施設のように、個々の状態に合わせて療育を専門にする学校で、一般教育から日常生活の訓練までを行います。
中学校に進む際も、小学校と同様の選択肢があり、発育の状態などに応じて進路を選択することになります。
高校で個別支援学級を備える学校はほとんどなく、多くの生徒は特別支援学校へと進学します。特別支援学校でも高校になると、大学進学クラスから日常生活支援クラスまで内容は様々です。また中には受験を通して一般の高校に通う子どももいます。

成人期以降の生活

かつては、障害をもつ人が特定のサービスを受けられなかったり、就職や進学などで差別てきな扱いを受けたりすることもありました。しかし2016(平成28)年からは、そのような行為は法律によって禁止されるようになり、ダウン症候群を持つ方が今まで以上に、就職・進学といったシーンで活躍できるようになりました。今後もサポートと活動の場を拡げ、個々のもつ能力を引き出していける社会を拡げていきたいものです。

日常生活

障害者特別支援法によって、障害のある人の自立生活を援助する施設として18歳以上の成人を対象にグループホームが活用されるようになってきています。ここでは生活支援や訓練などを行いながら複数人で共同生活を送っています。また、障害の程度によっては、就労し、一人で部屋を借りて暮らしている人もいます。
生活資金としては、就労者の賃金の他、障害基礎年金が適用されるケースもあります。

就労と日々の仕事

教育の期間が修了すれば、自立のために就労を考えることになります。個々の発達状態や障害の程度によって、一般企業に就職することもありますが、一般就労を目指すための支援施設や、簡易作業などを通して手に職をつける福祉作業所などで働くことになります。近年、一般企業に対し障害のある人を一定の比率で雇用することを義務づけた法律が整備され、企業側でも障害のある人に向けた環境の整備が進んで、雇用の選択肢も拡がってきています。

生涯教育

高校を卒業後も個々の状態によって、大学や専門学校などに進学することもあります。大学でも、障害のある人たちへの配慮が近年進んできて、ダウン症候群のある人たちも共に学びやすい環境になってきています。また障害のある人むけのオープンカレッジを設ける大学も増えなど、生涯学び続けるための環境が整いつつあります。

余暇の使い方や趣味活動

生活の彩りとしての趣味・余暇活動にも様々なものがありますが、スポーツやダンスといった身体を使うもの、音楽や美術・工芸活動といった芸術関係、手芸や工作など、何らかの表現に関わる活動を行う方が多くなっています。
特に独自の表現が発揮しやすい美術・工芸の分野では新進のアート作家として趣味の域を超えて活躍する人も何人もいます。
スポーツの分野では、国際的な運動組織のもとで障害のある人むけの大会や競技会に臨むべくトレーニングに励むアスリートもいます。
一方、余暇を自宅でゆったり過ごしたいという方もあり、休みの日は家でテレビ鑑賞、料理や手芸、工作、読書などでリラックスする方や、近年ではインターネットを使ってSNSやブログなどで友人との交流や情報発信に励む方たちもいます。

恋愛・結婚

思春期を迎えれば、異性に対する関心も湧いてきます。中には、付き合いをはじめて、デートを楽しんだりする人たちもいます。そんな中から、結婚に至るダウン症のカップルもあらわれてきています。現在はまだ数は少ないとはいえ、今後法整備の効果が行きわたってくれば、そうしたカップルの数は増えていくと考えられます。

ダウン症候群の子どもと
接するポイント

伝え方の工夫

一般的に言葉の理解や発語の発育が遅い傾向にあります。言葉で何かを伝えたい場合、できるだけゆっくり、明瞭に話してあげると伝わりやすいでしょう。
一方、ダウン症候群の子どもは目から入る情報については理解が早い傾向もあります。そのため、音声だけではなく、イラストや身振り、文字表現なども合わせながら伝えることを心がけましょう。

自信を育む

何かができたときにすぐほめてあげることで、自信が生まれ、成長のきっかけとなります。できないことだけを気にかけるより、できること、得意なことがあれば、その部分を強調して、他のこともできるようになるきっかけとしましょう。

サポートはし過ぎず、適切に

意欲をもって取り組んでいる、日常の訓練、学習、趣味などに対し、目を配り、サポートしてあげるのは大切ですが、手を出しすぎず、お子さんが助けを求めたときにはじめてサポートしてあげることや、難しい課題には何かヒントになるようなことを仕込んでおいてあげるなどの工夫が大切です。

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